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NYの住民・物書き、安部かすみによる日々のアレコレ 出会い 取材こぼれ話  小粒ながら日々がんばっています


by Kasumi Abe

あの頃の私は若かった…。

月曜に会社に行くと、
同僚から、「新人の女の子から退職したい旨の相談を受けた」と知らされた。
その子は、考える時間をひとまず1週間もらったそうだ。

彼女はほぼ同じ時期に入社した同期だった。
明るくて素直でいい子だった。

だけど、大学出たてで、社会経験のない彼女には
いくらジャーナリズム専攻でも、実践では思うようにいかなかったのだろう。

新卒&入社1年目が、特に辛いというのを私が何よりも知っていたので
近々飲みに行こうと、先週彼女を誘ったばかりだった。
たいへんだけど自分のタメになるからぜひがんばってほしかっただけに、
彼女のリアイアはちょっとザンネンだった。

そして、、、
そんな彼女に、フト昔の自分が重なる…。

何を隠そう、私も新卒で就職した最初の仕事を、
たった3ヵ月で退職した人だった!
(もうほとんど、自分の記憶から忘れ去られるところだった)

日本での職歴は?と聞かれるたびに、
8年働いた出版社のことを話すが、
実はその前に、もう一つ職歴があったな(笑)。

22歳で大学を卒業し、同年春に
エンターテインメント系の某企業に就職。
そこでは、企画営業職に就いた。

英語を使う職ということで、そこに就職を決めたが、
現実は自分が夢見たものとは全然違った。

夢と現実とのギャップに揺られた2ヵ月。

しかし、簡単にそこを辞めるわけにはいかなかった。
だって、大金はたいてアパートの敷金礼金を払って、
やっと夢の一人暮らしをはじめたばかりだったから。

しかし、3ヵ月経った頃、
もうどーにもこーにもならなくなって、
夜の9時頃、会社を抜け出し、
公衆電話から、実家に泣きながら電話した。(当時は携帯もなかった時代)

父親からは
「そんなに辛いのなら、辞めればいい。
1ヵ月分のアパート代を送るから、1ヵ月で見切りをつけて実家に帰って来い」と言われた。

翌日から会社を休んで身の振り方を考え、
3日後に、辞表を提出した。

そのとき、社長からは
「後悔しないように、考え抜きなさい」と言われ、夕方まで時間をもらった。
そして、彼は、それでも退職の意を曲げなかった私に最後は
「どの道に進もうが、キミのやりたいことをがんばり抜きなさい」と言って見送ってくれた。

それからの私は
翌々月からのアパート代を捻出するため、職探しに奔走する日々。

この1~2ヵ月のことは、ここでは割愛するけど
とにかく、今考えると、貴重な人生勉強になった。

そして、退職から2ヵ月後に
たまたま見つけた、出版社のアシスタントの仕事。

1年後にはそこの正社員となって、
私にとっての“編集のすべて”を、そこで培うことになった。

そんな私が、彼女に言いたいのは1つ。

「アナタも当時の私も、頑張りが少しだけ足りなかったね。
でもダイジョーブ。
最初の会社ではダメだったけど、人生はこれから。
どの道に進もうが、アナタがやりたいことをがんばって!」ということなのだ。
Commented by EMKB at 2007-05-03 13:46
うわ、この記事本当にタイミングがよすぎる!実は私も今月中旬から会社員として初めて働くことになるのです。。自分でも思ってもみなかったフィールドで働くことになって期待と不安が半々というところでしょうか。
私は今まで本当にやりたいことだけをがんばってきた人間なので、企業に入るとまたそうも行かなくなるとは思いますが、それも一つの勉強かな。
この記事読んでよかった。どうもありがとうございます。
Commented by banban0501 at 2007-05-03 15:39
なんか 娘のころを思い出してしまいました。大学を卒業して東証一部上場の大手の商事会社に事務職で正社員となり私も喜んでいましたが 本人とっては あまりの仕事の量と自分の能力のなさに 落ち込み 失敗ばかり重ねて・・・とうとう1年目の終わりにギブアップ。私に内緒で 次の仕事を探しているときに 私が察知。親に心配かけたくなくて 黙っていたけど 自分には無理な仕事だと・・・。なんだか可哀想になって「自分で決めたことをすればいいよ」といってやれました。今は自分にあった仕事場を 小さな事務所で見つけて頑張っています。そんな娘を思いだしました。
Commented by ヒノウエウマ秘書 at 2007-05-03 22:29 x
私も今の仕事を8年勤めて「天職」とまで思っていますが、その昔、こちらの高校・短大を卒業し、日本で病院の院長秘書になりましたが、コネで採用されているのにもかかわらず、5週間でその仕事を辞めました。その病院ではシバラク私は「ブラック・リスト」に載っていました。今ではそういうことも笑い話になるキャリアを築く事が(?)でき、人生ってガンバリしだいで修正可能&生活向上&幸せになれると思います。
Commented by abekasu_ny at 2007-05-04 10:50
EMKBさん

記事が何らかのお役に立てたとは、うれしい限りです!
そして、EMKBさんももうすぐ就職されるとは、おめでとうございます!
確かに、企業に入るとフリーランスと違っていろんな制約も多いけど、
それなりにいいこともありますよ。(私は4月に入社したばかりですが、
それなりに会社員生活を楽しんでいます♪)
フィールドが違うというのは、かなりのチャレンジングですね。
目の前の乗り越えるべき壁が高ければ高いほど、
やりがいもあるというもの。
がんばってください!応援しています。
Commented by abekasu_ny at 2007-05-04 10:56
banbanさん

娘さんも、私やこの日記で書いた彼女と同じような経験をされた一人なんですね。
いくら有名企業でも、高給でも、人には向き不向きがありますからね。
それは、私が8年働いた会社を思い出してもわかります。
私は8年在職しましたが、中には1日、3日で辞表、、という人も
ちらほらいましたから。。。
こればっかりは、いざ仕事をはじめてみないとわからないということでしょうね。
しかし、今イキイキとお仕事されているのが一番。
娘さんも、前の苦い経験があるからこそ、今踏ん張れるっていうのもあるでしょうね。
Commented by abekasu_ny at 2007-05-04 11:02
ヒノエウマ秘書さんにも、そんな過去があったんですね。
私は当時のことを、ほとんど忘れており、何がそんなに泣くほど嫌だったのかよくわからないんですが、
きっと、未来が見えなかったのが大きかったのだと思います。
あのときは、「アパート代どうしよう?」と気ばかりが焦っていましたが
まぁ、人生なんとか転がっていくものですよね。
人生の修正はどんなときでも遅くないというのに、同感です!
Commented by はま犬 at 2007-05-05 00:02 x
初めて会社に入った時って、「会社っていろいろある」のその「いろいろ」がどんだけいろいろか、想像つかないんですよね。
今でこそ笑えるけど、私も元会社に入って1、2ヶ月は「合わない!忙しすぎる!絶対辞めてやる!」って毎日泣いてましたw
忙しすぎて切り出す時間もないうちに、ずるずると約4年、何とか続いた訳ですが。
アベカスさんが「忘れてた」最初の3ヶ月の経験も、どっか潜在的な部分で今のアベカスさんの糧になっているんでしょうね。
「経験に無駄なものはひとつもない」とつくづく思うこの頃。
その同期さんにも、また新しい世界がきっと待っていることでしょうね。
Commented by abekasu_ny at 2007-05-06 11:53
その忙しすぎると泣いていたのに、4年続いたっていうのは
ある意味、辞め時が来たっていうことでしょうね。
(私の持論ですが、本当に合わないと辞める人はだいたい1年以内に辞めますね。それで3年一区切りで、次のステージを考えることが多いような気がします)

確かに、前の会社は潜在的に糧になっているのでしょうね。
P社に入ったとき「こんな、学校の部活の延長のような雰囲気の会社ってアリなの?」と思いましたし、前の苦い経験があったからこそ、
次は簡単には辞めないという気持ちも大きかったです。
by abekasu_ny | 2007-05-03 11:32 | その他の仕事のハナシ | Comments(8)