まるで自分の展覧会のように…

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昨日はチェルシーで開催された
グループ展のオープニング・パーティーに参加してきました。

半年前に
こんな話をブログ上でしたのですが、
時が経つのは早いもので、
私がお手伝いさせていただいた
写真家・遠藤弘志さんのニューヨーク初展覧会が
やっと開催されたのです。

世界中から集められた
「芸術は爆発だ~!」と言わんばかりのエネルギー溢れる4~5アーティストの作品の中で、
異色の白黒写真。
しかも被写体は、枯れ草。
余計なものが一切入っていないその作品は、ひときわ目立っていました。

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遠藤さんがこの「枯れ草シリーズ」を撮りはじめることになったのは、
86歳のお母さんがきっかけになったそうです。

当時入院していたお母さんをお見舞いに行くと、
今にも命が果てそうなお母さんは、言葉もなくじっと遠藤さんの目を見ているだけだったとか。

その帰りしな、遠藤さんの目に飛び込んできたのは
風に揺れる枯れ草。
お母さんの命と重なったのでしょう。
そして、ちょうどこの枯れ草シリーズを撮りはじめた頃、お母さんはお亡くなりになったそうです。

私が初めてこの作品を見せていただいたとき、
言葉にならない感情がグッとこみあげてきました。

人は必ず老いて死ぬ。
絶対に免れない、命を持つ者すべての性。

この言葉にならない感覚は、
アメリカ人にも絶対に伝わるはず、そう思いました。

それが去年の9月です。

半年経った今日、
展覧会のためにニューヨークにやってきた遠藤さんご夫妻とともに、
そのオープニング・イベントに立会いました。

私は、まるで自分がアーティストになったかのような気持ちで
少し緊張…。

訪れた方の中に、
遠藤さんの作品を見て、アメリカの有名な物語「last leaf」を思い出したといった方がいました。
(私は読んだことがないけど、そのお話の内容、何となくわかる気がします)

2人連れでやってきた25~30歳ぐらいの女性は
じっと写真の前に立って、作品を見入っていました。

私が声をかけると、なんとその女性の目には涙が…。
「ごめんなさい、訳もなく涙が出てしまう」とその女性は言っていました。

言葉や文化が違っても、
芯の部分っていうのは伝わるものなんだということが、
身に沁みて実感できた出来事でした。

この展覧会は、4月10日まで開催中。
お近くにお越しの際は、ぜひ寄ってみてください。

「Vertical Rising」展 @monkdogz urbanart


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Commented by banban0501 at 2007-03-17 21:50
芸術は やはり 言葉を超えた感性に訴えるものなんだと 感じる今日の記事でした。いろいろな人たちと出会って 刺激をうけて お仕事ができるabekasuさん 幸せですよね!
Commented by りょう☆ at 2007-03-18 13:31 x
初めまして
何かのきっかけでここを知り(覚えていない)、サラリとしているのに要点を押さえた読みやすい文章と好奇心をそそるフォトに魅了されています。

今回の記事でちょっとだけ話題になったオー・ヘンリーの The Last Leaf はとてもいい話です。
遠藤さんの「枯れ草シリーズ」とは少し方向性が違う気がしますが、人生の終演を見つめる時、そのスポット的な部分で共通性があると思います。
The Last Leaf はとても短いストーリーなので一読するのも良いかも知れません。
ここで無料で読めます。
http://www.hyuki.com/trans/leaf.html
Commented by banban at 2007-03-20 17:39 x
りょう☆さま 教えていただいた最後の一葉のページにいってきました。昔子供向けに読んだものとは 印象が ちがいました。この場で お礼申し上げます。ありがとう!
Commented by ayamilano at 2007-03-21 23:04
こんにちは。 まさに、絵には言葉はなくても強く伝わるものがありますよね。 就職まであと少しですか? 3月は会社で仕事を始めたら時間的にできないこととかいろいろやることあって結局忙しいのでは?

Commented by abekasu_ny at 2007-03-22 02:50
banbanさん

コメントバック、たいへんおそくなりすみません。
週末から今日まで小旅行に出ており、今日戻ってきました。

そうですね、芸術っていうのは言葉でなかなか表せません。日本にいるときは音楽記事書いていましたが、音楽も言葉にするのが難しかったです。そういうときは、「ぜひ聞いてください」というしかなかったです(笑)。

いろんな人たちに出会って感性が磨かれるっていうのが、この仕事の醍醐味です!
Commented by abekasu_ny at 2007-03-22 02:52
りょう☆さん

はじめまして。コメントどうもありがとうございます!
お礼がおそくなりすみませんでした。旅に出ており、さっきNYに戻ってまいりました。

それからオーヘンリーの「The Last Leaf」をインターネットで読めるなんて知りませんでした!すばらしいです。
後で時間があるときにじっくり読ませていただきますネ。
Commented by abekasu_ny at 2007-03-22 02:54
ayamilanoさん

そうなのですよ。来月から「かいしゃい~ん」なので、今月中にやらなければいけないこと、片付けなければならないものが山積みです。
旅は急に出たくなり、週末~週明けにかけて行ってきました。…といっても州外にちょっとした小旅行でしたが、気分転換できました!
Commented by ayamilano at 2007-03-22 23:35
急にどこか行きたくなるって時ありますよね、近くでも、住んでるところからちょっと離れたほうが気分転換になっていいみたい。
Commented by abekasu_ny at 2007-03-23 12:55
そうですね、今回はペンシルバニアに行って骨休めしてきました。
行くときは積雪、戻ってくるとすっかり春の陽気になっていました。
Commented by mikisnet at 2007-03-23 15:45
写真とても素敵です。私、も昔「枯れ木」をテーマに誌や写真をとってたことがあるので、すごくこういうの好きです。NYには行けないですが、成功をお祈りしております!
Commented by abekasu_ny at 2007-03-24 05:55
りょう☆さん

「The Last Leaf」読みました。この物語の話をしてくださったアメリカ人のお客さんも、窓の外の葉っぱの話をされていましたが、実際読むと本当によいお話ですね。ありがとうございました。
(日本語訳がたまに、ご愛嬌でしたが♪)
Commented by abekasu_ny at 2007-03-24 05:58
mikisnetさん

mikisnetさんも「枯れ木」の作品撮られていましたか!
「枯れ草」や「枯れ木」を撮影というのは、アメリカ人にはない発想のようで
どのギャラリーでも評判がとてもよかったですヨ。
by abekasu_ny | 2007-03-17 04:31 | その他の仕事バナシ | Comments(12)

日々のアレコレ、出会い、取材こぼれ話まで。在NY17年目。日米でのエディター&ライター歴20年。 大きなアメリカ人の中に埋もれないよう、小粒ながら日々がんばっています!


by Kasumi Abe
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