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NYの住民・物書き、安部かすみによる日々のアレコレ 出会い 取材こぼれ話  小粒ながら日々がんばっています


by Kasumi Abe

キューバ取材 後記 (今年が終わってしまわぬうちに... )

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© Kasumi Abe

                   

「そうか... 4年後に戻るって言っていたのに、お父さんが反対されているのね残念だけどお父さんの気持ちもわかるよ」

先日日本に一時帰国した際に、懐かしいペンパル(!)とのやり取りを読んで、忘れていた過去のことが蘇りました。

大学1年の夏休みに、1ヵ月にわたる憧れのニューヨーク・ホームステイ旅の後、念願のペンパルに会いに、デトロイトに寄ったんだった。

今だったらネット友とかになるのかな? 
当日はインターネットがない時代ですから「ペンパル」でした(汗)
名前はシンディ。デトロイトに住む、私より9歳年上のお姉さん。


シンディの手紙から蘇ってきた遠い遠い過去の記憶。


そうか、あの時私は、アートの勉強をするために、4年後NYに戻って美大に入学すると心に決めていたんだったな。

でも家庭の事情でその夢は叶わず、地元福岡の出版社に就職したのでした。
(そのおかげで、今のキャリアのベースが築けたわけですが)


日々こんなことをよく考えます。
今年はあれしようこれしよう。
今度はここに行こう、ここにもう一度戻ってこよう。
内容はさまざまですが、人生なかなか予定通りに行きませぬ。

キューバ旅も同じでした。

2008年に初めて訪れ、とても良い人々と出会い、NYとはまた違った楽しい体験をし、あの時は、またすぐに戻ってくるぞ!と心に決めたのに、戻るまでに、まさか10年もかかるとは...。



(6月にキューバ記事2本書きました)






随分と前置きが長くなってしまったけど、
キューバに戻るのは私の長年の夢でした。

この国が大好きになったことはもちろん一番の理由だけど、もう一つ、前回があまりにも不遇な、、、不思議な旅になったので、そのリベンジも兼ねて、必ず戻らないとと思っていました。

不遇で不思議な旅というのは、前回私はアメリカからメキシコ経由での旅程でロストバゲージにあい、所持品がいっさいない状態だったのです。アメリカ再入国でJFK国際空港に到着した時、トートバッグ1つの私は税関係員に怪訝そうな顔をされました。

あの物資の限られた国で、歯ブラシも下着も何にもなく、女子にとってはお出かけ時のオシャレ着もメーク道具もないというのは、気持ちがド〜ンと落ちてしまうものです。

(10年前のキューバ旅の記事)
(当時の自分の写真を見返すと、毎日黒のTシャツにジーンズ汗。洗濯しながら毎日同じもの着てたんだった泣)

まぁでも人生って不思議なもので、日本でもニューヨークでもそうですが、世界中どこにいても、困ったら必ず助けてくれる人が出現するものなんですよねぇ。

あの時はカーサのファミリーや、初日に出会いずっと行動したイギリスのグレース&マノリート夫妻から、いろんなものを借りたり恵んでもらったりして1週間を無事サバイブ。

10年ぶりに前回お会いした一人ひとりと懐かしの再会をしたかったけれど、結局会うことができず...。

まぁいつも思っていますが、基本的に出会いは一期一会。だからこそ、出会った人との時間や出会えたことの奇跡を大切にするべきしょう。

そんな悲願の旅を終え、書き上げたのが上記のヤフーの記事でした。

記事に書ききれなかったこともたくさんあるし、レポートとして発信する上で迷うこともたくさんあったし、クリエイターとして突き詰めるとキリがないけれど、最近特に思うのは、今出し切ったものが自分にとっての「正解」だということです。

昨年出版したブルックリン本もそうですが、もっといい写真が撮れたのではないか、もっとほかにも有益な情報があったのではないか、、、など思うこともあるけれど、結局そのときに自分がこれと思うものを制限枠内で出し切ったものは、それがそのときの自分にとって100%、なのですよね。

そういう意味で、6月に発表したキューバ記事2本はとても満足しています。

あともう一つ。

キューバの社会主義は結局成功例なのか、失敗例なのか、戻ってきた時はこの答えが今ひとつ出ませんでした。

現地で話を聞いた人の一人が、日給の低さを嘆いていたときに、私が「別の国では、目が虚ろな路上浮浪者、路上で寝ていたり売り子をしたりしている子供を見たけど、キューバでは見かけませんね」とお伝えするとその方は「そうですね。だからキューバはToo Badではない」とおっしゃいました。

よく考えると、アメリカにもホームレスはたくさんいるし、日本でもたまに餓死者がアパートで発見されたなどのニュースを聞いたりします。
また、自分を蔑む社会はどうなのか? 銃を乱射する社会はどうなのか?ーーそれらは、キューバには存在しません。

どちらが正しくて正しくないのか、いろいろ考えていたらドツボにハマった時期がありました。

そうしたら、先輩ジャーナリストさんが「アベさんが現地で見たものが一番正しいんだよ」って教えてくれました。

なるほど!問題が瞬時に解決されました。
その言葉を胸に、今後も取材活動を続けてまいります。



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by abekasu_ny | 2019-10-06 08:08 | 旅の想ひ出 | Comments(0)